四神とは
「四神」(しじん 又は ししん)とは、古代中国で、天の「二十八宿」を東方・北方・西方・南方の四大区画に分け、その「四方」の方角を司るそれぞれ「東の青龍」・「南の朱雀」・「西の白虎」・「北の玄武」が(「四象・ししょう」)4つの霊獣とされ、「四象」と「四神」は同義であり、実体のない概念である「四象」に実体を持たせたものが四神(霊獣)である。
古代中国の「宿」
古代中国において、「宿」というのは「星座区分」のことをいい、そして月の通り道である「白道(はくどう)」に接する星座に、月が1日一宿・28日かけて「月が宿る」と考え、これを「二十八宿」とした。
日本の「二十八宿」
日本における最初の二十八宿図は、7世紀から8世紀頃に造られた「高松塚古墳」や「キトラ古墳」の壁画で四神の図と共に見つかっており、中国の天文学体系がこの頃には渡来していたことを伺わせる。
中国の神話、天の四方の方角を司る霊獣(天之四霊)
その四神が守る地を、「四神相応」の地として古くから安定と繁栄を祈願したとされ、日本でも「平城京」「平安京」は四神相応の都として知られています。
江戸幕府を開いた徳川家康もまた、江戸を四神相応、すなわち神獣に守られた都市にするため、東は青龍が宿る川(大川、隅田川)、南は朱雀が宿る平野、海(江戸湊)、西は白虎が宿る大道(東海道)、北は玄武が宿る山(麹町台地)として江戸の安定と繁栄を祈願しました。
東の「青龍」
青竜は、東方を守護する神獣とされる。
中国の星座である二十八宿の東方七宿に対応し、東方七宿(角宿・亢宿・氐宿・房宿・心宿・尾宿・箕宿)を総称して青龍とした。青は五行説では東方の色とされる。
俳句において春の季語で、「青帝(せいてい)」・「蒼帝(そうてい)」・「東帝」と同義であり、春(東・青)の象徴である。ちなみに春のことを「青春」ともいう。
南の「朱雀」
朱雀は南方を守護する神獣とされる。
中国の星座である二十八宿の南方七宿に対応し南方七宿(井宿、鬼宿、柳宿、星宿、张宿、翼宿、轸宿)を総称して朱雀とした。
朱雀は翼を広げた鳳凰様の鳥形で表される。朱は赤であり、赤は五行説では南方の色とされる。
俳句において夏の季語である「炎帝」・「赤帝」と同義であり、陰陽五行説では火であり、夏(南・朱)の象徴である。ちなみに夏のことを「朱夏」ともいう。
西の「白虎」
白虎は西方を守護する神獣とされる。
中国の星座である二十八宿の西方七宿に対応し、西方七宿(奎・婁・胃・昴・畢・觜・参)を総称して白虎とした。白は五行説では西方の色とされる。
俳句において秋の季語である「白帝」と同義であり、秋(西・白)の象徴である。
北の「玄武」
玄武は北方を守護する神獣とされる。
中国の星座である二十八宿の北方七宿に対応し、北方七宿(南斗・牽牛・須女・虚・危・営室・東壁)を総称して玄武とした。
黒は五行説では北方の色とされ、「水」を表す。
俳句において冬の季語である「冬帝」・「玄帝」と同義であり、冬(北・玄)の象徴である。なお、冬のことを「玄冬」ともいう。
その他「四神」にちなむもの
青龍偃月刀、朱雀門、玄武洞など、四神にちなんだ事物は数多い。
白虎隊・・・会津藩では武家男子を中心に年齢別に50歳以上の玄武隊、36歳から49歳までの青龍隊、18歳から35歳までの朱雀隊、17歳以下の白虎隊と四神の名前を部隊名とし軍構成していた。
人生を四季に例え、若年期を「青春」、壮年期を「朱夏(しゅか)」、熟年期を「白秋(はくしゅう)」、老年期を「玄冬(げんとう)」と表現することがある。日本の詩人北原白秋の号はこれに由来している。